2024年12月2日(月)~12月4日(水)の3日間、アクリエひめじ(兵庫県姫路市)で開催された「第38回分子シミュレーション討論会」にて論文発表および企業展示コーナー出展をいたしました。
ご来場いただきましたお客様および関係者の方々に厚く御礼申し上げます。 誠にありがとうございました。
弊社展示では、第一原理計算の利用者や、GPU化に興味のある方など、様々な方にご好評いただくことができました。
ご来場いただいたお客様の声
- これまでは実験で確認していたが、第一原理計算を用いたシミュレーションを活用することで、実験工数や費用を削減できないか検討していた。ぜひ、相談したい。
- GPU化事例では、チューニング(転送量削減や演算効率改善)でこれほどの高速化が実現できることに驚いた。
分子シミュレーション討論会発表「ゆらぎを取り入れた第一原理計算手法」

今回の発表では、現在弊社で研究開発している新たな第一原理計算手法において課題となっているGW 近似(GWA)の計算量とメモリ量の削減を実現した計算手法についてご紹介いたしました。
【講演概要】
現在当社では、密度汎関数法(DFT)の予測が定性的にも破綻してしまう「電子相関の強い系」に対しても信頼性の高い計算を可能にする新たな第一原理計算手法の開発に取り組んでいる。
当社の手法では3つのゆらぎを取り入れるが、3つのゆらぎのうち電荷ゆらぎのみを考慮した手法はGW近似(GWA)と呼ばれている。
GWAは比較的電子相関の弱い系に対して大きな成功を収めているが、電子相関の強い系に対しては正しい描像を与えない場合があり、さらなる近似の改良が必要である。
しかし GWAでさえDFT に比べてはるかに計算量とメモリを必要としており、このことが新たな計算手法を開発する上での一つの課題となっている。
そこで、GWAの計算量とメモリ量の削減を実現した計算手法についての発表を行った。
以下のような課題を抱えている方へのご支援となれば幸いです。
- GWAで計算できる系のサイズを大きくしたい
- 小規模なマシンでGWA計算を行いたい
弊社展示

発表会場の外では、展示ブースを設け、HPCを活用するためのソリューションをご紹介いたしました。
今回の論文内容と関連するサービス「研究開発 新たな第一原理計算手法(3つのゆらぎを使った汎関数積分法)」を中心とし、GPUを使用したアプリケーション高速化を可能とした「GPU高速化サービス」や、研究開発におけるアルゴリズム選定やプログラム開発を支援する「数値シミュレーションプログラム開発」をご紹介いたしました。
弊社の研究開発についてご興味を持っていただいたお客様をはじめ、「従来のソフトウェアでは十分な精度が出ない物質物理量の計算」や「計算機リソースに応じた計算規模や計算精度の設定」が可能であることをお伝えできたのではないかと思います。
今後とも、皆様の未来の生活を豊かにする技術の発展に貢献してまいります。
ソリューションや製品についてご不明な点やご質問などありましたら、お気軽にお問合わせください。
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分子シミュレーション討論会について
分子シミュレーション討論会では、分子動力学法などによる分子集合体の計算機シミュレーションや、分子間相互作用に関する理論・電子状態計算、並びに複雑系・大規模分子集団の構造や動的性質に関する理論的研究などを中心に、分子シミュレーションに関する話題が幅広く議論されております。
主催:分子シミュレーション学会
学会HP:www.mol-sim.jp/
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創業50年を目前に控える弊社には、スーパーコンピュータの進化とともに歩んできた歴史があります。中規模の独立系でありながらコンパイラを開発している企業は非常に稀で、事業領域が多岐にわたることからも、あらゆる分野のプロジェクトに携われるところが特徴です。
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