分子シミュレーションに関する研究開発テーマ
メトロは、2つのテーマの研究開発を行っています。
- 新たな第一原理計算手法(3つのゆらぎを使った汎関数積分法)の開発
- 密度汎関数法(DFT)の近似手法の改良
関連技術
量子物性物理、量子化学、分子動力学、第一原理計算、超伝導
新たな第一原理計算手法(3つのゆらぎを使った汎関数積分法)とは
密度汎関数理論(DFT)における課題
現在の第一原理計算の標準的基礎は、密度汎関数理論に基づく局所密度近似です。
しかしながら、値の大きな短距離力が適切に考慮されていないという課題があります。
新たな第一原理計算手法(3つのゆらぎを使った汎関数積分法)とは
本手法は、密度汎関数理論(DFT)における相互作用のない参照系の代わりに、短距離力が働いている参照系を考慮したメトロ独自の計算手法です。「電子相関が強いため、密度汎関数理論(DFT)では物質の特性などに対する精度の高い予測が難しい」という課題の解決に有効です。
短距離力は誘電率よりも帯磁率において重要になるため、密度汎関数理論における帯磁率と参照系でのそれが一致するように短距離力の大きさが決定されます。こうして得られた短距離力が働いている参照系のハミルトニアンに対して、電子相関を考慮した一体のGreen関数と二体のGreen関数を計算します。
密度汎関数法(DFT)の近似手法の改良とは
shifted-COCG法を用いることで並列性能を向上させ、分極効果を取り入れることで計算精度を向上させた密度汎関数法(DFT)の近似手法の改良を行っています。
参考:大規模系への分子シミュレーションを可能にした手法のご紹介
研究開発中のソフトウェア
本ソフトウェアは、新素材の詳細な解析や予測など精度の高い第一原理計算を行う必要がある場合に有効な手段となります。また、新薬開発などマルチスケールシミュレーションを行う場においては、計算速度や計算精度を任意に組み合わせることで、計算機リソースに応じた計算規模・計算精度で実行できる機能も備えています。
ソフトウェアの3つの特長
1 | 新たな第一原理計算手法(3つのゆらぎを使った汎関数積分法) 独自の計算手法を用いることで、従来のソフトウェアでは十分な精度が出ない物質・物理量の計算も行える |
2 | 従来の計算手法(密度汎関数理論(DFT))の改良 速度と精度のバランスの良い計算手法を用いることで、研究開発のスピード向上と利益向上に繋がる |
3 | 新たな計算手法と従来の計算手法の改良版のハイブリッド 上記2種類の計算手法を任意に組み合わせることができ、計算機リソースに応じた計算規模で実行できる |
物質の安定構造の計算 | 〇 |
バンド構造計算 | 〇 |
光電子スペクトル計算 | 〇 |
量子分子動力学計算 | 〇 |
フォノン分散 | 〇 |
電気伝導度の計算 | 〇 |
電流の可視化 |
〇 |
電流誘起力計算 | 〇 |
熱伝導度計算 | 〇 |
遷移状態構造探索 | 〇 |
動的誘電率・磁化率計算 | ● |
信頼性の高いバンド構造計算 | ● |
超電導転移温度の計算 | ● |
●:新たな第一原理計算手法(3つのゆらぎを使った汎関数積分法)で対応できるようになるもの
○:密度汎関数理論(DFT)の改良で対応できるもの
メトロの研究開発の活用分野

《主なテーマ》
- 創薬やタンパク質の構造特定
- 熱電交換素子/多核金属錯体のシミュレーション
- 次世代半導体材料の開発や物性の予測
- 材料の強度や信頼性の向上
- 二次電池や燃料電池のシミュレーション
生体・創薬
《テーマ》 創薬やタンパク質の構造特定 |
《主な計算手法》
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《課題》 シミュレーションで高精度に計算することによって、薬剤開発・実験の時間を短縮する必要がある。 |
エネルギー
《テーマ》 熱電交換素子/多核金属錯体のシミュレーション |
《主な計算手法》
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《課題》 熱電変換素子の材料となりうる物質のシミュレーション精度が悪い。鉄の強磁性結晶構造の計算や多核金属錯体の電子状態計算など。 |
材料
《テーマ》 次世代半導体材料の開発や物性の予測 |
《主な計算手法》
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《課題》 酸化物高温超電導体などの強相関電子系は、その特性を正しく検証することができない。 |
《テーマ》 材料の強度や信頼性の向上 |
《主な計算手法》
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《課題》 大規模・高精度なマルチケース計算が必要。 |
《テーマ》 二次電池や燃料電池のシミュレーション |
《主な計算手法》
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《課題》 高精度で計算するためには大規模系の計算を行う必要があるが、時間がかかる。現実的な時間では、十分な精度が出せない。 |
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